吉田裕美 – TRIGGER

吉田裕美

彼女は、妊娠活動中の主婦。
しかし、その一方ではライタースクールに通い、フリーペーパーのライターも担当する。
ようやく向き合えた自分の好きなこと、やりたいこと。彼女の毎日は最高だ。

自分らしく生きる

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主婦と妊活とライターと

彼女は主婦だ。
結婚をしたのは、数年前のこと。

結婚後も数年間の共働きの期間を経て、
2015年3月に金融機関での社会人生活を終えたという。

社会人として働いた期間は、14年に及ぶ。

慣れ親しんだ職場環境、同僚、上司。

それでも彼女が退職した理由。
それは、妊娠活動に専念するため。

妊娠活動とは、妊娠に関する知識を身につけたり、
妊娠に向けて体調管理や人生設計を考えること。

現在、彼女は投薬治療を行ったり、
定期的に病院に通う生活を行っているという。

そして、彼女は主婦と妊娠活動の傍らで、
実はもう一つチャレンジしていることがある。

それは、ライターとしての活動だ。
週一回のライタースクールに通い、様々なことを学ぶ。

ライターとしての心構えや基本的な書き方はもちろん、
コピーライティングから企画に編集、
そして、川柳や俳句の講義なども受けるという。

最近では、田園都市線沿線の
フリーペーパーの取材記事も任される。

まだまだ、ライターとしての収入は少ない。
それでも、将来はその仕事で収入を得ることが目標だ。

主婦と妊娠活動。
パラレルキャリアとして、ライター活動。

やりたかったことに純粋に向き合える日々。
彼女はそんな毎日が楽しくてしょうがない。

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1年前よりも

彼女は、妊娠活動で病院に通う一方で、
週一のライタースクールで講義を受ける。

スクールでは毎回たくさんの宿題が出るという。

次の講義までに物語を一本書き上げたり、
テーマに沿った俳句や川柳、コピーを考えたりもする。

また、自分自身のブログの更新も欠かせないし、
現在は、フリーペーパーのライターも務めるのだから、
時間があればネタ探しに外に出かけるのだという。

一般募集されているワークショップを自分で探して参加してみたり、
田園都市沿線の飲食店を巡ったりもする。

今まで通りの生活をしていたら、
きっと得ることのできなかった経験や人との出会い。
それが、嬉しくて楽しくて。

そして、彼女は最近になり、家族や知人からこんなことを言われるという。

”1年前よりも、表情が明るくなったね”

彼女の1年前。
それは、まだ社会人として働いていた頃だ。

当時の自分は、やりたいことがあってもやらなかった。
仕事を理由に、日々の生活に向き合い続けていた。

1年後の自分が妊娠活動に専念している未来は想像できた。

でもまさか、ライターの活動を始めているなんて、
想像もしていなかったという。

彼女が主婦であり、妊娠活動を行いながら、
ライターを志して活動をすることになるきっかけ。

それは、抑え続けてきた自分自身の夢と
向きあうことから始まる。

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妊活のために辞めるのに

彼女が会社を辞めた理由は、妊娠活動に専念するため。
それは、紛れもない事実だったという。

退職を決意したのは、2014年の年末。
その頃にはまだ、ライターをやるなど考えもしなかった。

14年間務め続けた大好きな職場。
本当にいい同僚や上司に囲まれて幸せだった。

でも、きっちりとした金融機関での仕事。

集中的な病院通いが必要となる中では、
まとまった休みが必要になることもある。

職場のみんなに迷惑を掛けないことも考えて、
選んだ答えが退職だった。

妊娠活動に専念するから仕事を辞める。
夫も会社もその退職理由に納得を示してくれたという。

考えてみれば、本当にもう一つの家みたいな環境だった。
自分の14年間のほとんどをこの環境で過ごしてきた。

でも、4月からはたくさんの時間ができる。
妊娠活動に専念していこう。

そんな想いで、引き継ぎのための
残り3ヶ月を過ごす決意をしたという。

しかし、そう決意してからというもの、
彼女に訪れたのは不思議な心境の変化だった。

もう少しすれば仕事がなくなり、たくさんの時間ができる。
それを妊娠活動に充てることはわかってる。

でも、自分の心ではなんだか違う想いが浮かんできていた。

街中の転職サイトやフリーペーパー、
資格取得のCMや自己啓発の折り込みチラシ。

それらが、意識をしたくなくても視界に入ってくるのだ。

今までだって、そこには当然のようにあったのに、
辞めると決意してから、それらが心に問いかけてくる。

魅力的だなぁ。
そんなことを自然と思った。

そして、ある日のことだった。
投函されていたライタースクール生募集のチラシ。

それを見たとき、彼女の心はついに大きく揺れる。

そして、鮮明に蘇る過去の自分の夢。
その湧き出る想いを止めることなどできなかった。

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封印していたのは自分自身

次々と蘇る自身の過去の記憶。

小さな頃から本を読むことが大好きだった。
小学生の時に、自分で初めて書いた物語。

主人公がタイムスリップするSF冒険活劇。

内容は今考えればめちゃくちゃだったけど、
純粋に自分の読みたい物語を作っていたっけ。

すごく楽しくて、ワクワクしながら書いていた。
将来は作家になることを夢見ていた。

でも、そんな想いが薄くなり始めたのはいつからだろう。

そうだ。
たしか、高校の頃だ。

普通科に入学して、ハンドボール部のマネージャーやって。
勉強とか友達と買い物にいったりとか。

物語を書くこと以外に楽しいことがたくさん見つかって。
だから、自然と書くことはなくなっていったんだ。

短大に入学して、卒業後は今の職場に就職して。
日々の繰り返しで、新しいチャレンジはどうも億劫になっていって。

自分の心はいつでも自分のやりたいことを知っていて。
書くことが大好きな自分がいることも知っていて。

あの物語を書く時のワクワクしていた気持ち。

その気持ちが私は大好きだったのに、
それを封印していたのは自分自身だった。

そして、彼女は気づけば、
そのライタースクールのことを調べ始めていたという。

女性向けのスクール。
そこではライティングに関する様々なことを学ぶことができる。

いずれは、そのスクールのOBOGの仕事を手伝ったり、
ライターとして収入を得ることができるかもしれないという。

やりたいことを仕事にするということ。

そのことは考えないようにして生きてきた。
自分には無理だと勝手に思ってきた。

でも、今はこんなにも近くに
自分のやりたいことができる環境が整っている。

仕事を辞めることでできるたくさんの時間。

その時間を少しでも自分の夢に充てることができたら、
それはなんて素敵なことなのだろう。

主婦と妊娠活動とライターの活動。
その全てをやるんだ。やってみるんだ。

だから、彼女の一歩踏み出すきっかけは、
自分の夢と向きあうところから始まったのだ。

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自分らしく生きる

そして、会社を辞めた今。
彼女はライタースクールに通い始めた。

ライタースクールにも行きたいということ。
夫に話しをすると、さすがに驚いたようだった。

でも、自分の想いを伝えると、理解を示してくれた。
彼女は、その理解を示してくれた夫と家族に本当に感謝しているという。

彼女の日常は大きく変化した。
何よりも彼女の心と考え方が大きく変化した。

スクールの入校をきっかけに、
多くの人との出会いが生まれた。

今まで行ったことのないイベントやワークショップにも参加し、
新しい価値観が彼女を包み込む。

そして、こうしてTRIGGERに取材もされている。

自分のやりたかったことに向きあうこと。
それがこんなにも楽しいことだなんて思わなかった。

主婦だから、あれがダメ、これがダメなんてことはない。

今後、自分に子どもが生まれたり、環境の変化は必ず訪れるだろう。
でも、この今の気持ちや経験を忘れることはない。

自分らしく生きる。

自身の一歩で学んだその素晴らしさを
彼女は忘れることはないだろう。

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
ゲームマスターならお任せください。

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