岡田 基 – TRIGGER

岡田 基

彼の職業、それはフリーライター。WEB媒体を中心に多様なジャンルの記事を書き続ける。
そして、彼はその一方でアトピーに関する本を出版した。彼の原動力。それは即ち、彼の使命。

希望

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ライターとアトピー

彼の職業。
それはフリーライターだ。

WEB媒体を中心に、多様なジャンルで記事を書く。

企業に取材をして、レポートを書くこともあれば、
求人媒体向けの記事を書くこともある。

もらった金額に見合う価値はもちろんのこと、
その金額以上の価値を相手に感じてもらいたい。
それが、彼のポリシーだ。

フリーライターの世界は、自主自立が基本的な考え。
クライアントからもらった評価は、自分のものだし、
企業に所属しない彼の稼いだお金の全ては自分のものになる。

でも、仕事を自力で獲得しなければ、生きていくことはできない。

フリーライターとして完全に独立したい。
岡田 基という名前に仕事をもらいたい。
たくさん稼いで夢を叶えたい。

彼はその目標を胸に秘め、今日も記事を書き続けているという。

しかし、そのフリーライターでの目標は、
あくまでも彼の本当にやりたいことの通過点だ。

彼の本当にやりたいこと、志。

それは、
”アトピーの当事者が希望をもって生きられる社会の実現”

彼は今、フリーライターの一方で、
アトピーに対して貢献したい人を集めた意見交換会を開催したり、
関連団体のイベント等で出会った方の現状の悩みや要望をヒアリングする。

そして、アトピーに関する本を出版するまでに至った。

その本のタイトルは、
「希望へ」

彼がなぜその本を出版したのか。
そして、その本に秘められた彼の想い。

フリーライターとアトピー。
そこには、彼だけの軸がある。

それを、是非あなたに伝えたいと思う。

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希望へ

2015年9月。
彼はある本を自費出版した。

タイトルは、「希望へ」
治療法が確立されていないアトピーがテーマだ。

アトピーとは、皮膚の炎症を伴う過敏症の一種。

炎症を抑える薬はあるが、
それは根本的な解決には繋がらないことがほとんどだという。

なぜならば、人によって原因も治療法も様々。
他人の治療法が効くとは一概には言えない。

長期にわたり、憎悪と軽快を繰り返すそれは、
現在も多くのアトピーの方の身体と心を蝕んでいるという。

そんなアトピーの症状に苦しむ人たちに向けて作ったのが
「希望へ」という本だ。

辛い時期はずっと続くものじゃない。
必ず良くなるから、希望を持ち続けて、アトピーを克服してほしい。

そんな想いを本には込めているのだという。

そして、本を出版したのは彼の目標への歩みであり、
最終的なゴールは、アトピーの方が希望をもって生きられる社会の実現だ。

これからも、アトピーの方に対する雇用のサポートや
スポーツを用いた治療法の推進など様々なアプローチをしたい。

彼はそう心から願い、行動に移す日々を送っているという。

彼がアトピーに向き合う理由はどこにあるのか。

実は、彼自身もアトピーで苦しんだ経験を持つ一人。

でも、何も始めからそんな活動を行っていたわけではない。
自分が何をすべきか悩んだ日々もある。

だからこそ、わかる。
自分が今何をすべきなのか。

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孤独

アトピーに苦しみ、誰にも理解されない孤独な日々。
彼もまたそのことを経験した一人だ。

アトピーを発症したのは、おそらく2、3歳の頃。
幼すぎて記憶は定かではない。

両親の協力もあり、幼い頃から温泉治療や食事療法を試した。
それでも、軽減はされるものの劇的な改善は見られず、
その状態のまま中学時代に突入したのだという。

中学時代。
それは、彼にとって1日1日が長く、
終わりが見えない孤独な日々だった。

彼のアトピーは、重症。
全身の肌は赤くただれ、それ自体が痒みを通り越して痛みを伴う。
身体を曲げるだけでも、強烈な痛みが襲い、動くことも嫌になる。

そして、見た目にもはっきりと表れるそれは、
思春期の自分にとっては致命的。

周りが自分の姿を見てどう思っているのかを考えると、
とても怖くなり、相手とまともに向き合って話すこともできない。

彼の選択は、休学をしての自宅療養だった。
でも、その自宅療養がさらに彼を追い込むことになる。
誰にも会わない日々は、彼と社会に繋がりを断ったという。

学校にも行けない。
友達にも会えない。
社会との繋がりがない。

でも、人目が気になり外にも出れない。

治療を施しても、根本的な解決にはならず、
終わりの見えない治療の日々。

彼がこの時一番に感じていたもの。

それは、孤独。
誰に話しても、理解されない痛みや気持ち。

ようやく快方に向かったのは高校時代だ。
気分一心で新たに始めたフェンシング。

加えて食生活にも気を配り、一歩踏み出して社会と関わりを持つことで
自身のアトピー症状をコントロールできるようになったという。

でも、中学時代のその経験は、
彼の根本になったといっても過言ではない。

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等々力公園

そうして、彼はアトピーに関連する活動を始めた、
というとそういうわけではない。

自身の軸に気づくのは、もう少し先のことだ。
彼は、大学卒業後、様々な職を転々としたという。

自分が何をしたいのか。
自分の軸はどこにあり、使命はなんなのか。

そんな答えの見えないことに悩み続けたという。
神戸から東京へ職と新天地を求めて上京もした。
でも、働くことで気づくのは、その仕事を心からやりたいと思えないこと。

そんな彼に転機が訪れたのは、2014年10月。

当時、彼はIT企業の営業をしていた。
でも、それも本当にやりたいことではないことはわかっていた。

社会人3年目。
将来が見えず、悩みと不安でいっぱいだった。

どこか気の休まる場所を求めて。
そして、ふと立ち寄った杉並区の等々力公園でのことだった。

ベンチに腰掛け、一息つく。
周りは静かで木々の揺らめきだけが眼に映る。
その空間だけは穏やかに自分を包み込んだ。

その時だった。
彼の脳裏にはあることがフラッシュバックしたという。

それは、中学時代の経験。
自分の容姿が周りに見せられず、社会と断絶していた孤独な日々。
唯一、外に出られるタイミングは周りが暗くなる夜。

誰もいない近所の山に行って、景色を眺める。
その時だけが心休まる瞬間だった。

東京でも自分は安らぎを求めている。
それは今でも同じだと思った。

でも、過去の自分を引き合いにしてしまえば、
今の自分は幾分かマシだとも思った。

誰にも理解されないあの時の孤独。
出口の見えない治療の日々はとても苦しかった。

それと比べれば今の悩みなんて。

そして、彼はあることに気づく。

それは、そのアトピーと闘った昔の自分が
今の自分の軸の一つになっているということ。

そして、今この瞬間にも過去の自分と同じように
アトピーに苦しめられている人たちが多くいるのだということ。

その人たちもまた、終わりのない日々を想像している。
孤独な想いを抱えて生きている。

そう考えると、彼はいてもたってもいられなくなったという。
自分はその孤独を少しでも理解できるかもしれない。

何か貢献できることはないのだろうか。
彼の一歩はそんな誰かを想うことから始まった。

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出版の決意

今も苦しむアトピーの人たち。
そんな人たちに対して自分は何ができるのか。

そうして、始めたのは情報収集だったという。

アトピーの患者会や治療法に関するセミナー、
アトピーに関するデータを収集・整理する団体。

アトピー関連のイベントがあれば、積極的に参加をした。
時には渦中の人に直接話を聞くこともあったという。

今の自分が過去の自分に何ができるのだろうか。
アトピー患者と関わるほど、苦しむ過去の自分と重なった。

そして、彼は様々な情報収集を経て気づいたことがあった。

患者会や相談会は多く開催されているけど、
そこに現れる重症患者はとても少ないということ。

それは、なぜか。

アトピーの人は容姿や悪化のために外出が困難になるからだ。

社会と隔離され、孤独と不安が募るばかり。
昔の自分がそうだったから、その気持ちは痛いほどわかる。

そして、そう考えてみると、
心の中にどうしても伝えたい想いが芽生えた。

自分もそうだった。
でも、今はコントロールできるようになったんだ。

その苦しみはあなただけじゃない。
孤独じゃない。

必ずいい方向に向かう。
だから、絶対に希望を失わないでほしい。

どうしたら、この想いを伝えられるのだろうか。
アトピーの人は、状態によっては人と会うことができない。
会うこと以外で伝えられる方法は何があるのか。

そう考えた末、彼は決断をする。
それが、アトピーに関する本を出版することだった。

文章を書くことは好きだったし、
本なら重症の人も家で読めると思った。

そして、それは自分の覚悟に繋がる気がした。

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一歩目

本なんて出版したことはもちろんない。
右も左もわからなかった。

自費で出版したからリスクもあった。
本に費やした時間は思い出すこともできない。

転職を繰り返したように、この本の作成も
自分は途中で投げ出すのではないかと心配もした。

でも、どうしても伝えたい想いがあって、
その想いは不思議と自分の一歩を創り続けた。

”希望へ”

そうして作り上げたのがその本だ。

「決して一人の力では完成させることはできなかった」
そう語る彼の目はとても澄んでいた。

この本は彼のゴールではない。
最終目標は、アトピーの当事者が希望をもって生きられる社会の実現。

本を出版することは、彼の一歩目。

これからも多くのアトピーに関する活動を通じて、
彼は前に進んでいくだろう。

そして、その彼の歩みは、
また違う誰かの一歩を創り出していくはずだ。

私はそう信じている。

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
ゲームマスターならお任せください。

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