倉藤昂志 – TRIGGER

倉藤昂志

彼の仕事はWEBサイトの広告枠の営業、兼、ディレクター。自身で記事を書くこともある。
爽やかな笑顔とハッキリとした発言。それは彼自身の本当の姿。それを隠して生きた過去がある。

逃げずに全う

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責任を負うということ

現在、彼はWEBサイト業界では有名なとある企業に勤めている。

職業は、WEBサイトの広告営業、兼、ディレクター。
自身で記事を書くこともあれば、サイトの広告枠営業を行うこともある。

”相手の立場に立つ”
彼が一番大切にしている営業としての心得だ。

それは、お客様が一番望んでいることを提案するということ。

売り上げの数字目標が与えられている中で、
時には強引に売る場面も出てくるのが営業という職業でありビジネス。

彼のその心得を第一基準として持ち続けることはなかなか難しい。

しかし、彼はお客様の本当のニーズ解決を考え続ける。
必要であれば他社を勧めることもいとわない。

彼が売りたいのは自社サービス以上に
”信頼”という目に見えない価値なのだ。

その価値こそが長い目で見たときの
お客様貢献だと彼は考えている。

相手の立場に立つ。
それは営業としての心得だけではない。

自身の弱さを克服する為に課した人生の命題でもある。
そして、それは彼の逃げ続けてきた過去が大きく関係していた。

相手の立場に立つことが、自分が逃げないということ。

友達も信頼も自分自身の人生も。
彼は逃げ続けた先には何もないことを知っていた。

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逃げ癖

「今まで自分は逃げ続けて生きてきた。もう逃げたくない」
そう語る彼の目には少しばかりの哀愁が漂う。

物事から逃げることを覚えたのは、高校生の頃だった。

彼は野球が大好きだった。
群を抜いたそのセンスで強豪校では早くからピッチャーで活躍する。

しかし、その結果が生み出したのはチームメイトの妬みと恨み。
そして、ロッカールームでの陰口だった。

夏合宿から帰宅すると、体調と共に耐え続けてきたメンタルも崩壊。
彼は退部することを決める。

目の前の嫌なことから逃れたかった。

そして、大学で入部したのはソフトボール部。
努力に努力を重ねて、掴んだレギュラーの座。

しかし、ある日の試合のことだった。
そのポジションで名前を呼ばれたのは自分ではなかった。

後にキャプテンに理由を聞くと、
”懇意にしてくれる父兄が彼のプレーを見にきていたから”

その時全てのことが嫌になった。
レギュラーは努力や実力で掴むものではなく、政治的な理由で決まる。

ソフトボールはもうダメだ。
彼は退部を決意した。逃げ出した。

”自分にできることは嫌われないようにただ生きるだけ”
野球もソフトボールも失い、彼が出したのはそんな結論だった。

何も考えずに大学に通い、同級生と話し、とりあえず笑う。

迷惑をかけずにのらりくらりと生きていく。
ただただ生きる。ただただ動く。

あまりいい気持ちはしないけど、
その生き方に楽しいも辛いもない。

自分が何かに取り組んでも結局は上手くはいかないだろう。
だから、それが自分の生き方なのだと思い込むことにした。

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誰もいない

しかし、大学3年のある日、
その考えに疑問を投げかけたのは自分自身だった。

就職活動の最中。
ふと友達に就活の相談をしようと思った。

そして、携帯のアドレス帳を覗いた時に、あることに気づく。

誰もいない。

誰に相談したらいいのかわからなかった。
むしろ、相談以前に連絡を取る友達さえもいなかった。

その瞬間、彼は自分の生き方が間違っていたことに気づいた。

野球、ソフトボール、そして自分自身の本当の姿。
監督のせい、環境のせい、父親の看病で・・・。

自分以外のものに責任をなすりつけ、
関わる人間、物事から遠ざかり、辛いことから目を逸らして逃げ続けた結果、
得たのは一瞬の安堵と物事を辞める時の言い訳の上手さだけ。

逃げ続けることで周りの信頼を失い、
友達が一人もいないのは当たり前のことだと思った。

もう逃げたくない。

彼は自分の違う人生の歩み方を決意する。

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逃げずに全う

どうしたら自分は逃げずにいられるだろうか。

相手の立場に立って考える。
それが彼の結論だった。

今まで自分が逃げるという選択をしてきたことは、
結局、自分のことしか考えていなかったことに気づいたのだ。

そうして、彼が選んだのは、
自らが責任を負うということだった。

自分の性格上、必ず嫌なことからは逃げたくなるだろう。
責任を負えば、逃げようと思ってもその時に周りから叩かれる。

逃げて信頼を失い、友達を失い、自分自身を失う。
それなら周りから責任を追及されて叩かれた方が全然いい。

グループでリーダーが必要であれば、自ら立候補した。
イベントの司会にも立候補した。

自ら重要なポジションに立候補することで、
責任を負い、逃げられないような状態を作っていった。

だから、彼は人一倍、周りから自分を認められたいと思っている。

自分を認めてもらうということは、
彼にとって逃げないでいれているということ。

責任を負う。
逃げずに全うする。

だから、そのことが彼の生きる指針になっていったのである。

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自分に問いかける言葉

最後に彼はこう語る。

「のらりくらりと生きることは今思えばとても辛かった。
本当の自分を押し殺して生きることは本当に辛かった。

逃げて生きてきた結果、その間
自分が失ったものは自分自身だったのかもしれない。

もう逃げたくない。
相手の立場に立って考たい」

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
ゲームマスターならお任せください。

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