林 沙耶 – TRIGGER

林 沙耶

職業、保育士。ふんわりとしていて、癒し系の彼女。でも、仕事ではいつでも真剣そのものだ。
子ども達の良さを見つけては、いつでも最大限の褒め言葉で盛り立てる。そこには深い意味がある。

こども

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たくさんの挑戦

彼女の仕事は保育士だ。
都内の保育園で3歳児を担当している。

保育士は、親が仕事をしている子どもを預かり、
生活習慣を身につけさせたり、成長を手助けする仕事。

1日中、子どもと遊んでいるだけかというと、それは全く違う。

子どもが安全に遊べるように、全児童に気を配る一方で、
お昼寝の時間には20数名の連絡帳を一人で書き上げる。

イベントがあれば、その準備に追われ、
企画や打ち合わせも頻繁に行われる。

8時には出社し、定時にはほぼ帰宅できないのだから、
この仕事は想像以上に激務だ。

それでも、彼女にとっては天職だという。

大好きな子どもたちと触れ合える仕事だから。
もちろん、そのことは大きい。

しかし、保育士のやりがいを聞くと彼女はこう答えた。

「子どもたちは私にとって大切なことを教えてくれるんです」

保育士になって4年目。
彼女は多くの挑戦を始めた。

最近始めた一人暮らし。
初めて書くブログ。

自分の気持ちを素直に伝えるということ。

それらは今まで避けて生きてきたこと。
それでも、彼女は勇気を持って踏み出した。

全ては子どもたちが教えてくれた。
自分自身の大きな一歩目。

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子どもたちを見ていて

彼女は元より消極的な人間だった。
家庭では両親仲が悪く、喧嘩を繰り返していることが多かったという。

家族の中での彼女はそんな両親の仲裁役。

家族が仲良く過ごせるように、
常に顔色ばかりを伺っていた幼少期だった。

彼女はそのまま大人になった。

自分の言いたいことは言わず、
周りが望むことをいつも選んで発言していた。

常に受け身でいることが当たり前。
人によって対応を変え、自分よりも周りを優先をする。

自分の想いは自分の想い。
周りが笑っていればそれでいい。

別に誰にも迷惑をかけることもない。
だから、彼女はそんな人間だったという。

ではなぜ、彼女は今、
様々な挑戦を始めることができたのか。

実はそこには彼女自身の意識を変える
きっかけがあったという。

それは、保育士の仕事をしている最中のことだった。
子どもたちを見ていて、ふと抱いた想い。

もったいないなぁ。

それは彼女の心の奥から聞こえたつぶやきだった。

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消えていく輝き

この子どもたちも成長をすると、
素敵な個性は薄れてしまうんだろうな。

彼女の心の中に生まれたのは
そんなわだかまりだった。

子どもたちの笑顔はとても素敵。

みんな楽しそうで、嬉しそうで、
伸び伸びと今を生きている。

でも、将来この子たちが大人になったら、
今みたいな笑顔でいることができるのだろうか。

子どもたちを見てるうちに、今の自分と重なった。

自分のやりたいことは次第にできなくなり、
自分の言いたいことも次第に言えなくなり。

周りと染まることが正しいという世間の中で、
この子たちの個性は輝き続けることなどできるのだろうか。

もったいないなぁ。

だから、彼女が抱いたのはそんな気持ちだった。

子どもたちのこの輝きは将来薄れていく。
それは、今の自分だからわかる想いだった。

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個性と輝き

その日から彼女の中で、
子どもとの接し方が変わっていった。

目一杯に子どもたちを褒めるようになったのだ。
自分のできる限り、目一杯に。

子どもの個性を見つけた時。
そんな時には彼女は目一杯にその子を褒めた。

毎日のように粘土遊びばかりをやっている子どもがいた。
その子は形を作ることが大好きなのだと思った。

そしたら、周りで遊んでいた子たちを集めたという。

すごいね! 上手だね!

その子が大好きで作り上げたものを、目一杯に褒めた。

その子どもは本当に嬉しそうだった。
そしてまた、一生懸命に作り始めた。

かけっこが好きな子がいた。
ボール遊びが好きな子がいた。
サッカーが好きな子がいた。

上手か下手かなんて関係ない。

子どもたち一人一人が好きなもの、
やり続けているものをたくさん褒めた。

個性を無くして欲しくない。
その一心だった。

この目の前の子どもたちもみんな大人になる。

その時、社会に適応しようとすればするほど、
自分だけの個性は薄れていってしまうかもしれない。

でも、そんなの嫌だ。
だって、こんなにも目の前の子どもたちは輝いている。

自分のやりたいことをやって、
好きなことを頑張って。

この輝きは一生ものであってほしい。

下手だっていい。
好きなことをやっているだけで個性だし、輝きだ。
続けていれば、もっともっと綺麗に輝く。

私が今できること。
それは子どもたちの個性をたくさん褒めること。

何十年先もこの子たちの個性が輝くように。

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私の輝き

子どもたちの個性を褒める。

彼女がそのことを意識し始めると、
大きな変化が起き始めたという。

それは、子どもたちの変化ではない。
自分自身の心境の変化だった。

自分の個性を出していかないといけない。
彼女はそう強く思い始めたという。

子どもたちを見ていて知った。

個性とは自分のやりたいことをやるということ。
自分を発信することで見えてくるもの。

今までの自分には個性なんて無かった。
いつも周りに合わせていた。
受け身だった。

でも、自分にだって個性はあるんだ。

自分の思っていることを表現してみよう。
できることが始めよう。

その時からだ。

自分のブログを始めたり、
Facebookで動画を発信してみたり。

そして、ずっと慣れ親しんだ実家を離れ、
職場が遠くなっても、敢えて一人暮らしを始めたり。

それらは全て初めての挑戦だった。

やりたいことをやってみる。
伝えたいことを伝えてみる。

そうして、彼女は自分の個性に気づく。

それはなんてことない。

ブログも動画も子どものこと。
自分が楽しい瞬間はいつでも子どものこと。

子どもが大好き。
それが自分の個性だったのだ。

だから、彼女は今日も子どもの個性をたくさん褒める。

今は自信を持って、
子どもたちの輝きを信じていくことができるから。

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
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