荒井康介 – TRIGGER

荒井康介

サービス業で働く一方で彼は芸術家”風渡六朗”の顔を持つ。絵と音楽で想像を想像するアーティスト。
自己表現を追い続ける彼に終わりはない。だからこそ、彼は今、この瞬間を駆け抜ける。

GOD SPEED

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風渡六朗

彼には二つの名前がある。
サービス業で働く荒井康介という名前。

そして、もう一つは、
”風渡六朗(かぜと ろくろう)”

絵と音楽で想像を創造するアーティスト。
風渡六朗としてのWEBサイトで、芸術作品を公開しているという。

処女作は”もののあわれをしる”
それは、全7作からなる映像作品だ。

キーファクターは、蝉。
蝉は7日間しか生きることができない。

もしも、8日目を生きたいと願う蝉がいるとしたら。
もっと生きていたいと願う蝉がいるとしたら。
そして、8日目を迎えた蝉がいるとしたら。

彼が伝えたいのは、そんな蝉の8日目へ向かう心情。
そして、蝉を通じて感じる”あわれ”と”もしかしたら”の先の世界。

彼の人生を通しての目標は、自己を表現するということ。
そして、蝉は自己表現の重要な要素だという。

風渡六朗として、生み出す芸術は、
全て蝉からインスピレーションを受けている。

芸術家の感性を伝えていくことは難しい。

でも、彼が蝉をテーマにしていることや、
芸術家”風渡六朗”として歩み始めたきっかけ。

それを伝えることはできるだろう。

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音楽との出会い

芸術家”風渡六朗”としてやりたいこと。
それは自己を表現するということ。

自分の想いや価値観、主張や考え。
そのことを伝えたいと彼は純粋に思う。

自己表現と向き合い続けること。
しかしそれは、彼自身に昔からある感性や願いではない。

きっかけは、彼が芸術活動を始める前の
13年間を伝える必要がある。

大学時代。
彼を夢中にさせたものがある。

それは、音楽だった。

突然自宅に訪れた、中学時代からの親友。
手にはギター1本。

止める間もなく、歌い始めたのはオリジナルソング。

声を震わせながら歌い、決して上手だとは思えなかった。
でも、その一生懸命さが不思議と感動したという。

そして、友人はこう言った。
「一緒に音楽やろうぜ」

つまらない大学生活。
断る理由は見つからなかった。

そして、彼はその友人が始めたバンドの
ベーシストとして活動し始めたという。

音楽は楽しかった。
やればやるほどたくさんのことがわかった。

4弦で表現する自分の気持ち。
バンドメンバーで作り上げる曲という一つの形。

音楽活動に専念するため、大学は1年次で中退し、
そして、インディーズでCDを4枚出した。

彼は一気に音楽の世界にのめり込む。

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順調なバンド活動。
音楽のために大学を退学し、目一杯打ち込んだ。

しかし、23歳の頃。
彼の心の中に生まれたのは妙な違和感だった。
自分でも理由はわからなかった。

そして、そんな時。
自分の人生で最も重要な出会いが訪れる。

それはある日、コンビニに向かう途中のことだった。

目に飛び込んできたもの。
道路で死んでいた一匹の蝉。

いつもは素通りしていたそんな当たり前の光景に、
なぜか、自分の足が止まった。

”この蝉は何日目に死んだのだろう”
そんなことを思った。

蝉は地上に出てからは7日間しか生きられない。
この蝉は寿命を全うしたのか、何か他の生物に殺されたのか。

「もし、自分に蝉と同じ7日間の命しかないとしたら?」

そして、自分の心にそんな質問をした時に、
心と身体が疼くのを感じた。

自分でバンドを作るだろう。
自分で作詞作曲をして、素晴らしいアルバムを作るだろう。
そして、野外フェスで大声で歌い、叫び、自分を伝えるだろう。
そして、7日目を迎えて死にたい。

今の自分を振り返る。

その最高な7日間のどこにも当てはまらない。
音楽はできているけど、自分の伝えたいことはできていない。

歌いたい、メロディを作りたい、先陣を切って暴れたい。
もっと自己表現をしていきたい。

そこまで思った時に、ようやく自分の心のモヤの理由がわかる。

自分は自分の自己表現を欲していたのだ。
友人の世界観ではなく、自分の世界観を創り、伝えたかったのだ。

人生は短い。
最高の7日間にしなくてどうする。

もう迷いはなかった。

彼は3年間やってきたバンドを辞める。
そして、自分の力で自己表現できる道を探し始める。

気づいた時には、心のモヤは消えていた。

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結成と解散の先に

彼は、その後、自身でバンドを結成した。
バンド名は”7th Fly”

あの日、自身にヒントをくれた蝉の7日間をイメージした。

自己表現と向き合うために。
しかし、そのことは彼の苦難の始まりだった。

彼は、自身で作ったバンドを一生懸命にやった。
自分の7日間を生きるために、そして伝えるために。

しかし、彼のそのバンドは僅か1年で解散を迎えてしまうのだ。
メンバーのチームワークが取れ無いことが原因だった。

彼はそれでも諦めない。
再び、KANKUSというバンドを結成して活動をする。

今度はバンドメンバーを意識しながら、連携をとった。
もちろんその中でも、自己表現をし続けた。

チームは上手くいった。
でも、そのバンドも3年ほどで解散を迎える。

インディーズから声が掛かるものの、
メンバー間の方向性の違いにより解散してしまうのだ。

でも、彼はまだ諦めなかった。
今度は上京すると新バンドを結成するのだ。

GOD TV MEAT OIL’S
3ピースバンド。

初めての東京の地。
そこでも自分の表現の場所を追い続けた。

しかし、そのバンドも結局解散をしてしまう。
メンバーのそれぞれの道を考慮した結果の解散だった。

バンドの結成と解散。

追い求め続ける自己表現。
7日間の命を精一杯生きること。

32歳になった彼は、自分の人生を振り返る。

自分に残ったものは、後悔しかなかった。

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NOとは言えない世界

バンドを結成しては、解散を繰り返した。

一つも完結しない自己表現。
そのことは自分の中で後悔しかなかった。

バンドも解散をしてしまった。
バンドの再結成も考えたけど、なんだかピンとこない。

これから、どうしたらいいのか。

そして、自身を振り返った時、そもそも、
自分はなぜこんなにも自己表現をしたいのか、と思ったという。

その時に浮かんだのは、小学生の美術の授業。

地球環境保全のポスター。
みんなキラキラ輝く地球の絵と、地球を守ろうというワード。

その時の自分は周りを見てふざけんな、って思った。
そんなキラキラした絵で、どれだけ人が動くのか。

そうして、描いたのは地球が破壊されていく絵。
各地で戦争が起き、血が流れ、地球が壊れていく。
地球の真ん中には”地球は死んだ”という文字。

先生には怒られたけど、自分はその時、
堂々とそれをクラスメイトに見せつけた。

これが俺の絵だ!
そう言い切った。

あぁ、そうか。

当時の自分は知っていたのだと思った。

あの時感じた自分を主張する快感。
一枚の絵を通して、誰もNOとは言えない完璧な世界。

自分の中でもその空間を作り上げることができるのだ。

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GOD SPEED

いつでも自分は自分だけの表現をしたくて。
バンドを組んでも結局、解散して。

でも、そうじゃない。
自己表現と向き合う場所はなんだっていいんだ。

音楽だっていいし、絵だっていい。
でも、大事なことは続けることだ。

自己表現を続けていくことだ。

誰の意識も入らない場所でやろう。
芸術家として活動をしよう。

自分が伝えたいものがある限り、自己表現を続けていこう。

そうして、彼は風渡六朗の名で芸術活動を始める。
処女作は、”もののあわれをしる”

自己表現と向き合うきっかけをくれた、
あの夏の日の蝉をメインファクターにした。

挿入歌は、8th Fly。
かつての 7th Flyの曲ではなく、自分で作り上げたオリジナル。
加えて、自分の頭の中のイメージを映像化する。

自分が表現したいものを、音楽以外にも求めた時、
一気に自分の世界が広がっていく。

何回やってもいい。
何回失敗してもいい。

自分の中で自己表現の終わりがなければ、
それはまた新しい世界の始まりなのだ。

7日間を生きた蝉に、もしも8日目があるとしたら。

それは、自分の音楽人生と芸術人生を掛け合わせたもの。
自分にしかできない表現を、これからも追い続けていく。

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
ゲームマスターならお任せください。

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