室井郁美 – TRIGGER

室井郁美

本業は金融関係の事務職。どんな仕事でも自分なりの楽しみを見つけてしまう。
彼女は笑顔の人だった。ここまで笑顔にこだわる人はあまりいないのかもしれない。

笑顔

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ヘアメイクのフリーランサー

彼女にはやりたいことがある。

それはヘアメイクのフリーランサー。

お店や式場でヘアメイクをすることも視野に入れているが、
彼女の夢は個人で自由に動けるへアメイクアーティストだ。

結婚式などで個人的にヘアメイクを引き受けたり、
ショーメイクなどを行うことはもちろん、
公演やワークショップなどで自身の経験やノウハウを
提供していく人間になりたいと考えている。

彼女は元はといえば、結婚式場のヘアメイクアーティストだった。

ヘアメイクをして綺麗になった新婦が新しい自分に気づき、笑顔になる。
周りから綺麗だね、と言われて嬉しそうな新婦を見て、彼女は最高に嬉しかったという。

上京をきっかけに、式場での仕事から離れてはいるが、
今でもイベントなどでは、実際にヘアメイクを行っている。

そして、その評判は高くリピーターは多いという。

その評判の高さはどこからやってくるのか。
なぜ、みんな彼女にヘアメイクを依頼するのか。

そこには技術力はさることながら、
彼女の人間性が大きく関係していた。

笑顔。
彼女の魅力はそこにある。

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当たり前のもの

絶対に譲れない彼女の生き方。
それが”笑顔”なのだ。

彼女からすれば、”笑顔は大事”というものではない。
呼吸と同じで”笑顔は当たり前のもの”

もちろん、辛いことはたくさんある。
しかし、笑顔こそ最高の薬だと考えている。

そして、それは自分だけではない。

周りに笑顔ではない人がいれば、
なんとかその人を笑顔にできないかと考えてしまう。
自分と同じで笑顔が普通であってほしい。

そこに損益なんて関係ない。

だからこそ、彼女はヘアメイクを通じて
みんなに笑顔になってもらいたいと思っているのだ。

そんな彼女の周りには、笑顔に惹かれたたくさんの人が自然と集まる。
ヘアメイクの依頼だって当然のように舞い込む。

みんな彼女の笑顔が好きなのだ。

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笑顔の過去

彼女がそこまで笑顔にこだわる理由。

そこには涙で語る笑顔の過去がある。

”どんな時でもあなたは笑顔でいなさい”

彼女は物心ついた時から親にそう言われて育ってきた。
勉強のことも遊びのことも親から言われた記憶はないという。

笑顔でいること。
親からの唯一の教えを彼女は守り続けて育った。

しかし、そんな彼女だが、笑顔が辛い時もあったという。

小学校で受けていたいじめ。
些細なことで、クラスメイトから無視され続ける日々。

昨日までの友達も友達ではなくなり、
グループを決める時はいつも自分だけが余り者。

それでも学校では笑顔で居続けたが、そんな彼女にも限界があった。

ある日、家から帰るとどうしても耐えきれず
母親の前で泣き続けてしまったという。

今までの笑顔が嘘のように泣きに泣き、
そして彼女はこう言った。

「死にたい」

それを聞いた親は、彼女と一緒に号泣し、
最後にこう言ったという。

”死ぬんだったら一緒に死ぬよ?”

初めて母親の笑顔ではない時を見た。

そして、彼女の中で何かが生まれた。

親にそんなことを言わせてはいけない。
親を泣かしたくない。悲しい顔をさせたくない。

その日を境に、彼女はいじめを受けても笑顔で学校に通い続けた。
家でも泣くことはなくなった。

無理してでも笑っていれば、本当に笑える日が来ると信じ続けた。
そして、何よりも笑顔でいることこそが親孝行になると考えていたのである。

彼女にとって笑顔が呼吸のように当たり前になった頃、
自然と大事な友達ができ始めた。

いじめが原因で友達の存在を最初は信じることができなかったが、
高校生の時、友人が誕生日サプライズをしてくれて、
その時にやっと友達の大切さに気づくことができたという。

辛い時はたくさんあった。
それでも笑顔でい続けたから、本当に笑える日がやってきた。

だから、彼女は笑顔を信じている。

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笑顔と美容

最後に彼女はこう語る。

「笑っている時は楽しいから、どんな時も私は楽しい。

自分が笑顔になるだけじゃなくて、周りの人も笑顔にしたい。
みんな笑顔が普通であってほしいから。

辛いことはたくさんある。
でも、笑顔は最高の薬。

郁美は笑顔の為だけに動いているよ」

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この記事を書いた人

宮本 伸男
宮本 伸男ライターであり総監督でもある
人狼が大好きです。
ゲームマスターならお任せください。

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